火災保険で備える自然災害と事故──風災・水災・水濡れの違いと注意点

春の陽気が心地よく、新緑がまぶしい季節になりました。
一方で、春から夏にかけては、強風や大雨といった自然災害が多く発生する季節でもあります。加えて、給排水管の事故などによる「水濡れ」など、思わぬトラブルが起きやすい時期でもあります。
今回は、火災保険で備えることができる「風災」「水災」「水濡れ」などの違いと、それぞれの補償に関する注意点について、わかりやすくご説明します。

1. 火災保険は「火事」だけじゃない

「火災保険」という名前から、「火事のときしか補償されないのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、最近では補償内容を自由に選べるタイプの火災保険が主流となっており、火災以外にも台風・豪雨・落雷・雹(ひょう)などの自然災害や、盗難、水濡れ、外部からの飛来物による被害など、幅広いリスクに対する補償を選択することができます。
火災保険のペットネームとして「すまいの保険」といった名称が使われる商品も増えていることもあり、火災以外のリスクも含めて住まい全体を守る保険というイメージが広がっています。

2. 「風災」「水災」「水濡れ」の違い

先ほどご案内した通り、火災保険では火災以外にもさまざまなリスクに備えることができます。その中でも特に混同されやすいのが「風災」「水災」「水濡れ」の3つです。
ここでは、それぞれの違いと注意点について詳しくご説明いたします。

2-1. 風災とは

風災とは、台風や突風、竜巻などの強い風によって建物や家財に被害が出ることを指します。

例:
・台風で屋根の一部が壊れてしまった
・強風で屋根瓦が飛ばされ、そこから雨漏りが発生した
・台風で飛来物が窓や外壁にぶつかり、破損した箇所から雨水が侵入した

2番目、3番目の例のように水による損害であっても、風により外壁等に損害が発生した結果侵入した水による被害であれば、水災ではなく風災として保険金が支払われる可能性が高くなります。

2-2. 水災とは

水災とは、大雨や洪水、高潮などによって、建物や家財に浸水被害が出ることを指します。

例:
・河川の氾濫で床上まで浸水した
・土砂崩れによって家屋に損害が出た

風災とは違い、下から水が浸水してくるようなイメージの事故を水災と呼びます。
保険商品によっては、床上からの浸水の高さや損害の規模によって支払いの可否が決まる場合がありますので、ご加入中の保険内容をあらかじめ確認しておくことが大切です。

2-3. 水濡れとは

給排水設備に生じた事故が原因で水が漏れてしまい、建物や家財に水濡れによる損害が起きることを指します。

例:
・給排水管が破裂して室内が水浸しになり、家財が壊れてしまった
・マンションの上階が水漏れを起こし、自分の部屋の天井を交換しなくてはならなくなった

自然災害によらず給排水管からの水漏れによる損害は、「風災」や「水災」では補償されない可能性がありますので、水濡れ損害についても補償を付けておくことをおすすめします。

3. 雨漏りに注意

雨漏りは「水災」や「風災」「水濡れ」と似た被害に見えるため、補償されると誤解されがちです。

補償対象外となる可能性があるケース:
・経年劣化によって屋根から雨漏りが発生した場合
・老朽化した給水管からの慢性的な水漏れ

火災保険では「突発的な事故」が補償要件となっているため、「経年劣化」が原因の損害は対象外となる可能性があります。

4. 保険を悪用する業者に注意

近年、訪問営業等で「保険で建物の無料修理ができますよ」と勧誘してくる悪質な業者が後を絶ちません。

  • 支払われた保険金の一部を悪徳業者が手数料として持って行ってしまう(本来は悪徳業者を介さず、直接保険会社や代理店に連絡すれば保険金を請求するのに手数料は発生しない)
  • 本来は補償対象外の損害(経年劣化等)について、「台風で壊れた」等と虚偽の内容で保険を申請するように悪徳業者から指示を受け、結果として、保険金詐欺に加担させられてしまう

中には悪徳業者自らが建物の一部を壊して、修理代金を保険から回収しようとするような業者も存在します。
少しでも不審に感じた場合は、ご自身の保険会社や代理店にご相談ください。

5. まとめ

火災保険は火事だけでなく、風災・水災・水濡れなどさまざまなリスクを選択して補償することができます。ただし、事故の原因や条件によってどのリスクで支払われるかが変わるため、補償内容を選択する際には注意が必要です。また、経年劣化などの事故性のない損害については火災保険の補償対象外となる可能性もあります。
最近では台風による損害をフックにした悪徳業者が増えていることもありますので、不審な業者からの勧誘には乗らず、必ず正規の代理店や保険会社に相談してください。

この記事を書いた人

保険と聞くと“難しい・わかりにくいもの”という印象を抱く方が多いと思います。 私は、そのような方の為にも丁寧にわかりやすいご案内が出来るよう日々勉強しています。 困った時に頼りになる人間でありたいと思います。

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